『壊れた扉から』(こわれたとびらから)は、日本のミュージシャン、シンガーソングライターである尾崎豊の3作目のアルバム。英題は『THROUGH THE BROKEN DOOR』(スルー・ザ・ブロークン・ドア)。
背景
前作『回帰線』がオリコンチャート1位を獲得、続くコンサートツアー「TROPIC OF GRADUATION TOUR」も前回のツアーの2倍もの規模になっていた。ツアー最終日である8月25日に実施された大阪球場では2万人を動員する。
そのツアーの途中から、本作のレコーディングは開始する。尾崎豊本人が1985年11月29日の誕生日で20歳を迎えるため、10代である内に3枚目のアルバムを出そうというスタッフの思惑から強行スケジュールでレコーディングされた。そして、誕生日前日にぎりぎり間に合い発売された。
このアルバムは尾崎のバックバンドである「Heart Of Klaxon」と尾崎とで作るアルバムとして企画され、制作された。しかし、須藤らの意向もあり、完全にHeart Of Klaxonがアルバムを監修することはできなかった。
録音
レコーディングはソニー信濃町スタジオで行われた。プロデューサーは前作に続き須藤晃が担当している。
3曲目の「Forget-me-not」、6曲目の「Freeze Moon」や7曲目の「Driving All Night」などは一発録りでレコーディングされたテイクを使用している。誕生日前日のティーンエイジャー最後の日に発表することは、須藤と尾崎の間でプライベート・コントラクトとして確認されていた。
前作に続き全ての作詞、作曲を尾崎が行っており、編曲に関しては基本的に西本明、町支寛二が仕切り、一部の曲で尾崎自身がバックバンドとともにアレンジを行っている。
前述の通り、アルバムリリースから先行する形で開始した「LAST TEENAGE APPEARANCE TOUR」の合間を縫うようにしてレコーディングが進められていたが、最後の1曲である「Forget-me-not」の歌詞製作が頓挫し、スタッフは全員泊まり込み状態となり、着替えを用意して何日もかかりっきりの状態となった。その日の内に歌入れをすませて完成させなければ11月28日にリリースできなくなるという状況下で、真夜中に尾崎は廊下に寝そべって歌詞を考えていた。その後、尾崎は一度帰宅したいと要望し、須藤は朝日が昇るまでにスタジオに戻るよう条件を付けて帰宅させる。しかし、陽は昇り、諦めかけたスタッフの前に、ワイン2本と折詰の寿司、「Forget-me-not」の詞を書いた大学ノートを抱えた尾崎がスタジオの顔を出し、すぐに録音したものが本作に収められているテイクとなった。
音楽性
本作に関して尾崎は「3枚目のアルバムで、20歳になるという意味合いをこめて、何もかもゼロに戻して考え直してみたいと思った。そういう気持ちから『路上のルール』っていう曲ができた。たぶん10代を過ぎたら、僕は新しい意識に目覚めて生活していかなくちゃいけないだろうし、そういった歌を歌わなくちゃいけないと思ってた。学生じゃない、大人としての自分を見つけなきゃいけないと考え始めて、つまり扉を開けて一歩踏み出さなきゃって思い始めたんです。で、いまになってみると自分はすでにその扉を開いていた、一歩を踏み出していたということに気づいたんです。それで振り返ってその扉を見ると、それはもう壊れて街の中に埋もれてくる、そういうイメージがあったんです。手にしたと思うともうそれは失われていて、というか。次の扉を見つけなくちゃいけない、あるいは作らなくちゃいけない、そういう気持ちですね」と語っている。
ツアー
本作リリース前より、十代最後のツアーとして「LAST TEENAGE APPEARANCE TOUR」が、1985年11月1日の四日市市民文化会館を皮切りに26都市27公演行われている。
11月14日、15日には代々木オリンピックプール第一体育館にてライブを行い、2日間で3万人を動員している。
このツアーの模様は、後にライブ・アルバム『LAST TEENAGE APPEARANCE』(1987年)や、『MISSING BOY』(1997年)、ライブ・ビデオ『LAST TEENAGE APPEARANCE』(1997年)やDVD『625 DAYS』(2005年)に収録されている。
また、本作発売日のほぼ1ヶ月後の1986年1月1日の福岡国際センターでのライブ後に、尾崎は無期限活動休止宣言を発表、1986年の6月に渡米し、マスメディアから完全に姿を消してしまう。
批評
専門評論家によるレビュー レビュー・スコア 出典 評価 文藝別冊 尾崎豊
(松井巧)肯定的 文藝別冊 尾崎豊
(和合亮一)肯定的 文藝別冊 尾崎豊
(北小路隆志)肯定的 音楽誌が書かないJポップ批評 尾崎豊 肯定的 音楽評論家の松井巧は「スピードとエッジを利かせた『路上のルール』や『Freeze Moon』、『Driving All Night』などのロックンロール、感傷的な情景描写のバラード・ナンバー『米軍キャンプ』など、楽曲、サウンドともにファースト・アルバムから劇的な飛躍を遂げているわけではなく、次作『街路樹』での変化と比較するとこのアルバムには10代である自らを総括する意図があったのではないか」と述べている。
詩人の和合亮一は「情感の行方をよりはっきりと伝えている一方で、完成されてゆく音楽の調和そのものをどこかで恐れている尾崎の姿がある」と述べている。
評論家の北小路隆志は「コーラス・アレンジの優れた『失くした1/2』、ブラック・ミュージックのテイストが入った『彼』、シンセサイザーを前面に押し出した『米軍キャンプ』や『誰かのクラクション』など、前作で前面に出た対社会的なメッセージ色は薄められ、ソングライターとしての成熟を目指す作りになっており、アレンジ上の工夫についても意欲的になっている」と述べている。
フリーライターの河田拓也は、「前2作に顕著だったストレートな主張や反抗のトーンはほとんど感じられない。(中略)ツアーバンド『ハート オブ クラクション』と尾崎自身によるアレンジの曲が大半。バンドっぽい一体感が強調された演奏とミックスは、分厚くなったコーラスアレンジとも相俟って、80年代半ばの50’sリバイバルの空気とも共振している。ツアーの合間を縫っての慌ただしいレコーディングを思わせるように、ボーカルはややラフだけれど、長いツアーや大会場ライブで得た自信を反映して勢いがある。前2作のひりひりとした切なさや孤独のトーンは後退して、むしろ街の息吹や時代の風俗のざわめきを、尾崎の作品中もっとも感じさせるものになっている」と評している。
引用元:Wikipedia (https://ja.wikipedia.org/wiki/壊れた扉から)
高画質ジャケット画像 (ジャケ写)
28AH-1950
アナログ盤のジャケットをスキャンしました。結構高画質だと思う。
画像サイズ:1200 x 1200 (画像をクリックすると大きな画像が見られます。RGB jpg画像)
デジタルミュージック
画像サイズ:1689 x 1675 (画像をクリックすると大きな画像が見られます。RGB jpg画像)
Apple Musicで『壊れた扉から』(デジタルミュージック)を聴く。
歌詞
路上のルール の歌詞 (http://j-lyric.net/artist/a000ee6/l005ea1.html)
失くした1/2 の歌詞 (http://j-lyric.net/artist/a000ee6/l0004ba.html)
FORGET-ME-NOT の歌詞 (http://j-lyric.net/artist/a000ee6/l0101c8.html)
彼 の歌詞 (http://j-lyric.net/artist/a000ee6/l0067fa.html)
米軍キャンプ の歌詞 (http://j-lyric.net/artist/a000ee6/l0067fb.html)
Freeze Moon の歌詞 (http://j-lyric.net/artist/a000ee6/l005af4.html)
Driving All Night の歌詞 (http://j-lyric.net/artist/a000ee6/l0057f4.html)
ドーナツ・ショップ の歌詞 (http://j-lyric.net/artist/a000ee6/l0039d9.html)
誰かのクラクション の歌詞 (http://j-lyric.net/artist/a000ee6/l0067fc.html)
YouTube
Freeze Moon (Live)
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