『重力と呼吸』(じゅうりょくとこきゅう)は、日本のバンド・Mr.Childrenの19枚目のオリジナルアルバム。2018年10月3日にトイズファクトリーより発売された。
概要
通常盤のみの1形態で発売。シルバー3方背BOX仕様になっており、アートディレクターはエアロシン・レックス・メストロビッチ。期間限定でアルバム収録曲と「here comes my love」「Your Song」「Your Song (Ordinary Story)」「SINGLES」のミュージック・ビデオが視聴できる「プレイパス」が封入された。前作『REFLECTION』より3年4か月ぶりとなるオリジナルアルバムで、Mr.Childrenにとって平成最後のアルバムとなった。マスタリングはジョー・ラポータ(英語版)が担当。
桜井和寿は本作について「今までだったら、歌の物語であったり、リスナーの人のそれぞれの生活であったりを主役に置きながら見えてくる景色をイメージしてたけど、今回はそうじゃなくて、バンド、この4人が見えてくる音にしたいと思ってました」「ライブをすごいイメージして作ったアルバム」と語っている。その理由について、「生き様というものを表現する、そうできるバンドでありたいと思って」「25周年をやり終えて、つまりこれだけファンの人に感謝を告げた後に、スパッと『今の俺らはこういうものなんだよ』って意思表示をするということがファンにとってもMr.Childrenにとっても刺激的なことなんじゃないかって思う」と述べている。また、「音楽そのものの中にメッセージを込めてはいないけれど、(26年目を迎えて)今もなお叫びがある、そのこと自体がメッセージになり得るから。年齢も経験も重ねていくなかで、死というものをどこかで意識するようにもなった。だからこそ力強く生きる音に対するあこがれが強くなっている」とも語っている。
36thシングル「ヒカリノアトリエ」と37thシングル「himawari」カップリング曲「忙しい僕ら」、また2016年のツアーなどで披露されていた新曲「お伽話」「こころ」は未収録となっている。また、本アルバムは1993年リリースの3rdアルバム『Versus』以来25年ぶりに10曲収録となっており、収録時間が50分を下回ったのも同作品以来となっている。桜井は「濃いアルバムにしたかった」「今回聴いてもらいたいサウンドっていうのはこういう方向だって示したかったから。あんな曲もこんな曲もできますっていうのではなくて」と述べている。
アルバムタイトルに漢字が使用されるのは5thアルバム『深海』以来で、当初は『Your Song』もタイトル候補だったという。桜井曰く「Mr.Children史上、一番ハードロック寄りになっているので、そういう意味での重力もある」とのこと。
プロデュース
前作『REFLECTION』は、バンドのデビュー以来初となるメンバー単独によるセルフプロデュース作品が多数収録され、プロデューサー・小林武史との共同プロデュースによる楽曲は、全23曲中6曲({Drip}は14曲中5曲)であったが、今作では完全なセルフプロデュースとなっている。なお、ミュージック・ディレクター兼クリエイティブ・ディレクターとしてケン・マスイが参加している。
プロモーション
2018年8月2日に今作と歌詞集『Your Song』の発売、アリーナツアー『Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸』の開催を発表。その後、発売日以外の情報を発表することなく、9月17日に公式サイト上で、数字 “10691059” が発表され、合わせてカウントダウンもスタート、9月20日に詳細を発表した。
2019年1月25日にダウンロード配信がスタートし、台湾ではサブスクリプション配信がスタート。同年12月25日には国内でのサブスクリプション配信がスタートした。
評価
批評
ロッキング・オンの山崎洋一郎は、本作は「相当ロックだ」とした上で「今のMr.Childrenはこれまでのやり方のパターンから解放されて、自分たちの殻を破って新しい道を進んでいる。」と指摘し、それらが「曲からも、歌詞からも、サウンドからもはっきりと伝わってくる」とコメントした。また、Mr.Childrenは今作でこれまでやったことのないやり方で時代と向き合おうとしており、それらが「圧倒的なまでに成功している」と評価した。
チャート成績
発売初週に約31.0万枚を売り上げ、2018年10月15日付オリコン週間アルバムランキングで初登場1位を獲得。また発売週からオリコン週間アルバムランキング、Billboard JAPAN週間アルバムランキングのそれぞれで3週連続首位を2018年度で唯一獲得した。連続首位はベスト・アルバムでは『Mr.Children 2005-2010 <macro>』が3週連続首位獲得以来6年5か月ぶりで、オリジナルアルバムでは、16thアルバム『SENSE』が2週連続首位獲得以来7年10か月ぶりとなる。また、オリジナルアルバムでの3週連続首位獲得は自身としては初。
日本レコード協会の2018年10月度ゴールドディスク認定作品において米津玄師の『BOOTLEG』とともに、ダブル・プラチナ認定された。
2018年のオリコン年間ランキングで4位となり、オリジナルアルバムでは10thアルバム『IT’S A WONDERFUL WORLD』から9作連続の年間TOP10入りとなった。
2019年8月には、Billboard Japan Hot Albumsへのチャートイン週数が40週を突破した。
収録曲
- 全作詞・作曲:桜井和寿 / 全編曲・プロデュース:Mr.Children
- Your Song [5:13]
- 本作のリード曲で、情報解禁と同時にミュージック・ビデオ (Short ver.) が公開された。メンバーがミュージック・ビデオに出演するのは2014年11月発売のシングル「足音 〜Be Strong」以来約4年ぶりとなる。また、本作発売日である10月3日にミュージック・ビデオのフルバージョンと、林遣都、村上穂乃佳らが出演したもう1種類のミュージックビデオ「Your Song (Original Story)」が公開された。いずれも監督は林響太朗[26][27]で、武蔵野美術大学「ガレリア」などで撮影が行われた。
- 鈴木英哉のカウントから曲が始まる。冒頭の叫びは「喜びの叫び」だと桜井は語っている。
- ロビー・ウィリアムズの「She’s The One」からヒントを得て作られたという。
- 海にて、心は裸になりたがる [5:29]
- Mr.Childrenには珍しいビートロック。
- 桜井はLINDBERGとBUMP OF CHICKENが合わさったような楽曲だと評している。
- SINGLES [4:45]
- テレビ朝日系ドラマ『ハゲタカ』主題歌。
- 桜井は「シナリオを読ませて頂いたときに感じたギラギラした何か、哀愁や孤独や激しさ、そういった強いエネルギーに巻き込まれながら、この曲を録音しました」とコメントしている。
- 本作発売日である10月3日にミュージック・ビデオ (Short ver.) が公開された。ミュージック・ビデオには井之脇海と阿部純子が出演している。監督は林響太朗。
- タイアップの関係上、本楽曲の著作権はテレビ朝日ミュージックが保有している。
- here comes my love [6:00]
- 弦編曲:桜井和寿・世武裕子
- 7th配信限定シングル。
- 箱庭 [3:16]
- 管編曲:山本拓夫・桜井和寿
- 本作発売後に開催された『Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸』『Mr.Children Dome Tour 2019 “Against All GRAVITY”』では披露されなかった。
- addiction [4:28]
- ライブの中で刺激的な音楽を、ということを意識して書かれた曲。
- day by day(愛犬クルの物語) [3:14]
- クイーンの「I Was Born to Love You」を意識して作ったという。
- 『Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸』『Mr.Children Dome Tour 2019 “Against All GRAVITY”』では、「箱庭」同様に披露されなかった曲である。
- 秋がくれた切符 [3:30]
- 弦編曲:桜井和寿・世武裕子
- 桜井が西野カナに楽曲提供するイメージで書かれた曲。
- himawari [5:58]
- 弦編曲:桜井和寿・弦一徹
- 37thシングル。
- 表記はないがアルバムバージョン。ボーカル、一部ギターとキーボードの再録が行われ、ミックスとマスタリングも改めて行われている。
- 皮膚呼吸 [6:08]
- 英語補作詞:ケン・マスイ
- 2017年7月にNTTドコモ25周年キャンペーンのCMにおいて「未発表曲DEMO」として公開されていた楽曲。
- 無意識にやっていることが無駄なようで実は重要である、ということを書いた曲だと桜井はコメントしている。
引用元:Wikipedia (https://ja.wikipedia.org/wiki/重力と呼吸)
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